【八王子流れ橋】東京にある勝手橋、北浅川流れ橋を渡ってみる【河川敷の畑】

八王子市

訪れたスポット
1.八王子流れ橋(北浅川流れ橋)
2.北浅川の河川敷の畑

八王子の中西部を流れる北浅川。
陣馬山の谷間を源流とする渓は、明王林道、陣馬街道に沿って何度もくねり、やがて住宅街が見えはじめる都道61号を過ぎるあたりから、川幅が広くなり、いかにも“里川”という景色に変わる。

陵北大橋の下流(東側)400mほどの距離にある八王子/北浅川流れ橋。右岸側は堤防沿いに遊歩道(一部未舗装)が整備されている。

そのあたりに、『勝手橋』がある。
勝手橋とは、河川管理者に許可なく「勝手に架けられた橋」のこと。
正式名はなく、「八王子流れ橋」「北浅川流れ橋」、単に「流れ橋」と呼ばれる。
住民たちは、やや蔑称的なニュアンスを含む勝手橋ではなく、あくまで流れ橋と呼ぶのだ。

橋は1人が歩けるだけの幅しかないので、互いに譲り合って渡りたい。たまに自転車を引いて渡る子供たちも見かける。

簡易的に作られた橋なので、台風やゲリラ豪雨がくると流されてしまう。
住民たちは、そのたびに架け直している。
東京都建設局は、河川法26条違反として速やかな撤去を求めているが、しかし住民がこの橋をずっと利用してきたのも事実。橋の通行可否を確認できるHPによれば、「1955年4月までは東京府南多摩郡恩方村の資産目録に登録されていましたが、八王子市に編入された時の事務処理で八王子市に引き継がれませんでした」とある。ちなみに昔の流れ橋の様子は、「昭和49年に上映された映画『沖田総司』では、当時の流れ橋を見ることができ」るそうだ(※出典)。

橋のたもとに設置された看板。貼り紙に印刷されたQRコードからアクセスすると、八王子/北浅川流れ橋の歴史がわかる。
工事用のパイプと足場板を組んで作られた勝手橋。写真だと華奢に見えるかもしれないが、水位が低い(流れが弱い)ときはほぼ揺れない。先の出典のHPによれば、上流の板当橋の水位が72cm以下であれば、濡れずに渡れるそうだ。んっ、濡れずに渡れる……とは!?

現在はパイプと足場板を組み合わせた簡素な作りだが、2019年までは(手作り感はあるものの)なかなかしっかりした人道橋だった。東京府南多摩郡恩方村が管理していた昭和初期から中期にかけては、1トン前後の小型自動車なら通れるほど立派なものだったようだ。

ルートA(赤線)は、①地点から勝手橋を通って②地点に行く(約5分)。ルートB(青線)は、①地点から陵北大橋を経由して②地点に行く(約15分)。①地点の近くに住む住人は、ルートAがなくなると困っちゃうだろう。②地点は陣馬街道沿いで、バス停も近くにある。

違法なら即撤去せよ、というストレートな意見もあるだろうが、この橋については、先のような複雑な経緯があり、また北の西寺方町と、南の弐分方町、大楽寺町をつなぐ大変便利な橋であるのは理解できる。
例えば、イラストのルートA(赤線)なら、西寺方町から大楽寺町の陣馬街道に出るのに4〜5分(約250m)。しかしルートB(青線)で、西の陵北大橋を渡ると、15分以上かかる(約1100m)。通勤通学で利用する住民にしてみれば、この差はめちゃくちゃデカい。
ちなみに、この橋より東には、約2.4km先の高尾街道(松枝橋)まで一切橋がない。

こちらは河川管理者である東京都南多摩西部建設事務所が設置した警告看板。「この人道橋は、河川法26条に違反した違法工作物である。速やかに原状回復せよ」とある。オコである。

そんなことを考えながら、この橋を渡った。
当日は休日とあってか、川沿いを散歩する人たちも利用していた。
ただの橋といえばただの橋なのだが、ああだこうだ考えながら渡るとめっちゃ楽しい。

北浅川の勝手橋より下流右岸は、足元がアスファルトで舗装されている。八王子市西寺方グラウンド、東京天使病院、小学校、公営松枝住宅などを右手に見ながらのんびり歩く。

キャッキャと嬌声をあげながら、橋を何度か往復したのち、今度は川沿いの土手を歩いてみる。
北浅川の右岸は、国有地と私有地が複雑に入り組んだ土地のようだ。
河川区域内の民有地を「堤外民有地」というらしい。河川敷のあちこちに畑が作られていた。

土手を歩いていると、河川敷のあちこちに畑を見かける。最初は「えっ……いいの?」と怪しく思ったが、私有地(堤外民有地)ならもちろん問題ないそうだ。ただし工作物を設置できないなどの規制はある。
いくら民有地でも、河川区域内に工作物(小屋、物置など)を設置するのはNG。しかし実際は、写真のような管理柵が立てている畑が多い。

当初は「河川敷に畑を作るのはすべて違法なんじゃないの?」と思っていたのだが、これは全くの誤解だった。東京都建設局が立てた看板に詳しい説明があり、都市計画法や河川法によって、小屋などの工作物は設置できないものの、耕作(畑)等で利用するのは全く問題ないらしい(もちろん河川区域内の民有地に限る)。

しかし実際は、その境界に管理柵を立てている畑がほとんどだった。多摩川の河川敷に時折イノシシが出没するが、こういった管理柵がないと、せっかく作った野菜が野生動物に荒らされてしまうのかもしれない。

こちらは東京都南多摩西部建設事務所が設置した看板。「河川区域内でも、民有地なら畑を作ってもええよ。そりゃ自由や。ただし工作物を置いたらアカン。なんでかって? そりゃ洪水で流されたときに危ないからや。法律でそう決まってる。あと『みんなが畑を作ってるからワシもええやろ』と国有地を勝手に耕したらアカン。国の土地でそんなことしたら不法占拠になってまう。ええな。約束やで」と書いてある。

北浅川の場合、恩方の流れ橋から松枝住宅までは小規模な畑が点在する。諏訪浅川公園から南浅川の合流点あたりは、場所によってかなり大規模な畑が広がっている。これが多摩川まで下ると、このような堤外民有地の畑はほぼなくなる(一部、河川敷を不法占拠し、畑を作っているところもあるようだ)。

こういった“里川”っぽい川べりの道を歩けるのが多摩地域の魅力。みんなおいでよ(笑顔)。
勝手橋の入り口付近にあった看板。『税金のムダづかい 北西部幹線反対』とある。北西部幹線とは、圏央道八王子西ICから中央道八王子ICをつなぐ計画中の幹線道路のこと。そんな道路を作るくらいなら、ここに橋を架けろ、ということだろうか。わからん。
恩方バスフィッシングポンドは、1時間900円で遊べるブラックバスの管理釣り場(釣り堀)だ。ちなみにこの北浅川沿いは魚の養殖業が盛んで、上流に行くとニジマスなどの養魚場、釣り堀がたくさんある。

散歩の帰り道、ふたたび勝手橋を渡って(どれだけ渡りたいんだという話だが)、西寺方町に出てみた。その川沿いに、恩方バスフィッシングポンド(恩方国際釣堀場)があった。
ニジマスを釣らせる管理釣り場(釣り堀)は関東のあちこちにあるが、ここは都内で唯一ブラックバスを放流している管理釣り場だ(※紀尾井町の弁慶フィッシングクラブは自然繁殖した個体のみ)。
ブラックバスは特定外来生物に指定されて以降、なかなか扱いが難しい魚になったが、ルアー釣りの対象魚としてはやはり抜群におもしろい。管理釣り場なら、私のようなへたっぴでも楽しめる。

特に何があるわけでもない、のんびりした川沿いの道だが、なかなか楽しい散歩だった。