【調布基地跡】中央フリーウェイでも歌われた調布飛行場を歩く

東京都

訪れたスポット
1.調布飛行場(調布空港/調布基地)
2.武蔵野の森公園(掩体壕 大沢1号/2号)
3.プロペラカフェ
4.味の素スタジアム
5.白糸台掩体壕

多摩は軍都だ。第二次大戦中の遺構が、至るところに残されている。
都心から近く、広大で平坦な土地が広がる武蔵野台地や多摩丘陵のあちこちに、飛行場、かつて日本に存在した航空機メーカー、火薬工場、軍事研究機関、軍学校といった軍事施設、民間の軍需産業施設などが集中して作られた。

FC東京が本拠地とする味の素スタジアム。元の名前は「東京スタジアム」だが、2003年に味の素がネーミングライツを取得した。2001年からは東京ヴェルディ1969もここを本拠地とする。キングカズ、ラモス、武田、懐かしいな……。スタジアム前にはユニフォームや応援グッズが買える『ユーロスポーツ 味の素スタジアム店』が店を構える。
甲州街道から北に延びるスタジアム通り。左手に教育施設、右手に調布基地跡地運動広場が広がる。
調布基地跡地運動広場は、その広すぎる敷地にビビる。野球場が16面(ソフトボール用や少年野球用を含む)、サッカー場が4面もある。休日は子供たちが練習している姿を見られる。
多摩地域の名門『武蔵府中リトルシニア』の専用グラウンド。プロ野球選手になったOBの名前が誇らしげに掲げられる。楽天のサード、茂木栄五郎選手もこのチームの出身だ。
人見街道沿いに、新選組の近藤勇の生家とされる場所があった。新選組とは、幕末のファイト・クラブのこと。「一、局ヲ脱スルヲ不許。ルールその1、ファイト・クラブについて口にしてはならない」

そのひとつが旧陸軍調布飛行場だ。案内看板によると、「東京府北多磨郡多磨村(府中市)、調布町(調布市)、三鷹村(三鷹市)にまたがる約50万坪の広大な土地」に作られたとある。元々は地元の大農家や寺院などが所有する民有地だったそうだ。

武蔵野の森公園の東側に『展望の丘』と呼ばれる小高い丘がある。飛行機をのんびり眺めるならここか、調布基地跡地運動広場内の滑走路沿いのフェンスがおすすめ。芝生のなかに入ってもOK。息を切らせて登ろう。
自転車でやってきた地元の紳士が、ベンチで休みながら双眼鏡で飛行機を眺めていた。こんな粋な散歩ってあるかよ。小型で倍率高めの双眼鏡がほしくなった。おすすめ教えてください。
武蔵野の森公園(三鷹市側)にある掩体壕(えんたいごう)『大沢1号』。掩体壕とは、空襲から装備や人員を守るための施設。調布飛行場周辺にいくつかあり、自由に見学できる。
こちらは大沢2号。同じく武蔵野の森公園の三鷹市側、『遊びの広場』にある。大沢とは、三鷹市の西部にある地名だ。
掩体壕の金属模型。半円型の壕のなかに飛行機を隠し、日々激しさを増すB-29の本土空襲から貴重な機体を守ろうとした
遊びの広場にある2階建ての展望台。どんな景色が眺められるのかと期待したが、手前の街路樹が視界を邪魔し、眺め自体はかなり微妙。
手動ポンプ付きの水道施設。飲むのはNG。井戸なのか、上水をタンクに貯めただけなのかは不明。近くに手洗い付きの公衆トイレがあるなど、このポンプの用途自体もいまいち不明。

旧陸軍が使用し、敗戦後、アメリカ軍に接収された経緯があることから「調布基地」と呼ばれる。松任谷由実の『中央フリーウェイ』の歌詞にも登場するなど、知名度はそこそこ高い。
1974年にアメリカ軍から全面返還。2001年からは東京都調布飛行場として、伊豆諸島に定期便が飛ぶようになった。

調布飛行場ターミナル。離島にある小さな飛行場といえばその規模がイメージできるかも。新島、大島、神津島、三宅島に定期便が出ている。
調布飛行場の管制塔。定期便は1日4回の離発着のみだが、定期便以外の小型飛行機は頻繁に飛び立っている。
新中央航空が保有する駐機中のドルニエ228が見えた。全長16.56m(乗員2名、乗客19名)。
調布飛行場は、プロペラ旅客機のほか、測量や航空写真に使用する小型機を見ることができる。

都内には、飛行場が4つある(※島しょ部を除く)。
羽田空港、横田基地、立川飛行場、そして調布飛行場だ。
調布飛行場の滑走路は、800m級が南北に1本延びるのみ。
日本最大の空港である羽田空港、大統領来日時にはエアフォースワンが飛来する横田基地は3000m超級。常駐機こそないが、自衛隊の輸送機が降りる立川飛行場は900m+延長300m級。
それらに比べると、調布飛行場は、規模がかなり小さい。

日本エアロテックの社員食堂を一般開放したのが、調布飛行場内にある『プロペラカフェ』だ。スカイネットアカデミー前に警備員の詰め所があり、そこで空港用地立入カードに名前と電話番号、入場目的を記入すると敷地内に入れる。入場目的は「プロペラカフェ」でOK。
滑走路の真横にあるアメリカ式の『プロペラカフェ』。めっちゃ素敵。飛行機の模型やぬいぐるみなどお土産も買える。
数量限定のプロペラDXバーガー(税込1750円)。ハンバーグ、肉厚ベーコン、焼きタマネギ、トマトなどを挟んだジューシーなハンバーガー。全力でかぶりつこうとしたが、あまりの分厚さに断念。ナイフで切って食べました。うめー。
隣接する倉庫に展示される小型機。飛行機以外にも、ホンダの大型バイク・ゴールドウイングや、フェラーリなどが停まっていた。オーナーが羨ましい。
調布飛行場内『プロペラカフェ』の倉庫に展示されている、セスナ172PスカイホークIIのコックピット。びっくりするほど狭い。旅客機のファーストクラスのシートに、大人2人が一緒に座るくらいの狭さ。
何かしらのプロペラ(雑なキャプション)。2枚あるということは双発機か(雑なキャプション)。調布飛行場をのんびり歩けば、これでもかというほど空のロマンを感じられる。
飛行場の周囲では、写真ような窪地の緩衝帯(?)をよく見かける。航空事故が万が一発生した場合、被害を最小限に抑える工夫なのだろうか。ようわからん。
空港施設の騒音レベルをリアルタイムで表示する施設。騒音や事故に対する不安など、近隣住民は気にするところがあるのだろう。ちなみに「ここで叫んでも数値は変わらん。近隣住民の迷惑になるから絶対に叫ぶなよ、いいな、絶対に叫ぶなよ」と注意書きがあった。

ボーイングやエアバスといった我々になじみのある旅客機が離発着するには、法律で1800m以上の滑走路が必要だという(※Wikipediaより)。そのため、800m滑走路の調布飛行場で使われる機材は、ドルニエ228という双発プロペラ飛行機。新島、大島、神津島、三宅島への定期便が出ていて、1日4回の離着陸がある。料金は往復2〜3万円ちょい。知人が1度これで伊豆諸島に飛んだが、離着陸時はめちゃくちゃ揺れたそうだ。死ぬまでに1度は乗りたい。

甲州街道を走っていると「調布飛行場 Chofu Airport」と看板がある。胸が熱くなるな。
味の素スタジアム前のポケットガーデン。スポーツ施設に隣接する店舗だけに、コロナ禍の影響でテナントが減ったが、現在ロイヤルホストとらぁ麺はやし田が入っている。
味の素スタジアム前にある1964年東京オリンピック・マラソン折返し地点の碑。当時、代々木の米軍ワシントンハイツ用地を選手村として利用する計画が立ち上がり、調布に米軍兵舎・家族用居住宿舎がまるまる移転してきた(関東村)。10年ほど前までは、関東村の廃墟が残されていたが、現在は撤去が進んでいる。

調布基地跡地には、調布飛行場のほか、市民運動公園、アメフトの試合などに使われるアミノバイタルフィールド、FC東京や東京ヴェルディ1969のホームである味の素スタジアム、陸上競技用の施設を備えたAGFフィールド。スタジアム通りの東側には、東京外国語大学や警察大学校なんかがある。

国道20号線(甲州街道)からスタジアム通り、人見街道を経て大沢グラウンド通り……というコースで調布基地跡地を一周すると、その距離は約5.5km。1時間ちょっとで歩けるはず。

白糸台地区にある掩体壕。このようなシェルターは調布飛行場周辺に60基ほどあったそうだが、現存するのは4基のみ。
シェルター内は砂利で埋められ、航空機を入れるには高さが足りない(以前はおよそ3.5mほど高さがあったようだ)。地面にビニールテープが張られ、ここに駐められた陸上戦闘機『飛燕』がどれくらいの大きさだったのかがわかる。
シェルターのコンクリートは50cmほどあっただろうか(計測忘れ)。かなり分厚いが、経時劣化が進んでいるようだ。周囲に柵が儲けられ、自治体によって保存管理されている。
白糸台地区にある案内看板。野球をする少年、掩体壕の上でそれを観戦する下級生らしき子供が見える。昭和29年のプロ野球といえば、東京フランチャイズのチームでは巨人の広岡達朗が新人王、与那嶺要が首位打者を獲得した年らしい。
こちらは無蓋(フタがない)型の掩体壕。上空の爆撃機から発見されるの防いだり、爆風から機体を守る効果があったそうだ。
調布飛行場に集められたのは、本土防衛用の三式戦闘機『飛燕』をはじめとする当時の主力陸上戦闘機。帝都防空の拠点として「飛行第244戦隊」が置かれた(案内看板より)

松任谷由実の『中央フリーウェイ』に「調布基地を追い越し 山に向かって行けば」という歌詞がある。現在、高速道路沿いに背の高い防音壁が立っていて、中央道から調布飛行場を眺めることはできない。この防音壁が途切れるのは、ちょうど「右に見える競馬場」を過ぎたあたり。そこまで行けば、かなたに府中駅前の背の低いビル群が見える。

ユーミンは多摩っ子の誇り。ありがとう!

多摩っ子は、中央道を走るたびにこの『中央フリーウェイ』を第二国歌として斉唱してきた。防音壁で車窓を遮られたところで何ともない。目を閉じなくとも、府中の杜の情景が浮かんでくる。

そういえば中央フリーウェイも「夜空に続く滑走路」だった。
多摩には滑走路がいっぱいあるのだ。

交通アクセス
電車:京王線飛田給駅(東京都調布市飛田給)or 西武線多磨駅(東京都府中市紅葉丘)
車:国道20号線を調布飛行場方面へ。周辺の有料駐車場は1日500〜1000円(イベント時を除く)