訪れたスポット
1.武蔵村山トンネル群(横田トンネル、赤堀トンネル、御岳トンネル、赤坂トンネル、5号隧道)
2玉湖神社
3.狭山湖(山口貯水池/県立狭山自然公園)
4.多摩湖(村山貯水池)
前回(その②野山北公園自転車道/IHI瑞穂工場〜武蔵村山市本町)は、横田基地から都道55号線が交差するまでの約2.7kmを歩いた。今回は、その先のトンネル群を抜け、羽村・山口軽便鉄道の終点である狭山湖(山口貯水池)湖畔を目指す。片道約5.5kmの道のりだ。




都道55号線は、ゆるいカーブを繰り返して狭山丘陵の窪地を下る。その丘陵の土手っ腹に、ぽっかり横穴が開いている。全高も全幅も、両手を伸ばせば届くほどの狭さだ。建築資材運搬用に掘られた軽便鉄道用のトンネル廃線跡が、現在は自転車道として活用されている。



廃線跡のトンネルは全部で6本ある。
これらのトンネル群は、起点の羽村方面から、横田トンネル、赤堀トンネル、御岳トンネル、赤坂トンネルと呼ばれる。当初は名前はなかったが、後年自転車道として利用されることが決まってから、地名にちなんで名付けられたらしい(出典)。5番目、6番目のトンネルは、それぞれ第5隧道、第6隧道と呼ばれ、そちらは現在東京都水道局の管理地にあり、立ち入ることはできない。
東京都水道局が管理する土地は、総じて立ち入りが厳しく制限されている。たとえば、同じく東京都水道局が管理する玉川上水も、羽村取水堰(羽村市)から暗渠化される浅間橋(杉並区)まで、高いフェンスで囲まれている。もちろん水辺に下りることはできない。上水やエネルギー系の施設は、そういうものなのかもしれない。



昭和初期に建設されたコンクリートのトンネル。あちこちひび割れがあり、天井の隙間から雨水が漏れ、壁や足元を濡らしている。地元住民の生活通路になっているほか、ロードバイク乗りやランナーにはそこそこ知られた道なので(写真からは寂れた印象を受けるだろうが)人通りはそれなりにある。

天井に設置された蛍光灯が、日中でも薄暗いトンネル内を照らしている。
トンネルは、夏期は夕方6時、冬期は5時にシャッターが閉められる。その理由は防犯対策のためだそうだ。
御岳トンネルの手前の生け垣に「ちかんに注意」と書かれた看板があった。前回、野山北公園自転車道を歩いたときにも、そんな看板を見かけた。このあたりはそれほど痴漢が多発する地域なのだろうか……と思ったが、そういえば、平成のはじめの頃、この多摩地域で日本全土を震撼させる凶悪事件が発生したのを思い出した。宮崎勤の連続幼女誘拐殺人事件だ。あの頃はあちこちにこんな看板があったっけ。看板の文字は色あせ、あれからかなりの歳月が過ぎたことを思わせる。


御岳トンネルを抜けると、中藤という地域に出る。左手に見える番太池は、江戸時代からある灌漑用水池で、その昔は『御獄の溜井』と呼ばれ、付近の田んぼに水を供給していたそうだ。奥の住宅地には、仕出し屋、美容室、土建屋の事務所などがあった。ちなみに、番太池のフェンスにも「ちかんに注意」の看板があった。




赤坂トンネルを抜けると、廃線は狭山丘陵の森に飲み込まれる。苔の生えたアスファルトが途切れ、第5隧道に辿り着く。ここを抜ければ、多摩湖西岸の水路に至るが、現在は鉄格子で封鎖されている。

いくつかの散歩サイトを確認すると、第5隧道の左手に巻き道があるとの記述があったが、その巻き道は藪漕ぎしないと通れないほどの木々に覆われていたため、いったん車止めのあった十字路まで戻り、そこから山道を登って多摩湖通りを目指す。息を切らせて丘を登ると、しかし多摩湖界隈で有名な旅荘赤坂というラブホテル廃墟の敷地に出てしまった。フェンスが張られているため、通常の手段ではその向こうの多摩湖通りには出られない。だが今回は知恵を使い、なんとか道路に出ることができた。



多摩湖通りから都道55線を歩き、狭山湖を目指す。自治体の境目をまたぐエリアだけに、「ここからは武蔵村山市の管理」「ここからは東大和市の管理」「住所は東大和市だけど道路の所轄は埼玉県の所沢警察署」なんて注意書きが至るところにある。事件事故が起きたときは、いろいろトラブルがありそうな感じがする。


森のなかの歩道を歩き、T字路を北側に向かえば、狭山湖(山口貯水池)まであとちょっと。西武ドームを右手に眺め、ラブホテルの前を通り過ぎると狭山湖湖畔に到着する。
道幅がやけに広いこの歩道が、軽便鉄道の廃線跡なのかなと思いを馳せながら歩く。


狭山丘陵は、昭和中期から私鉄大手の西武鉄道が開発を進めている巨大観光地でもある。西武園競輪場、西武園ゆうえんち、西武園ゴルフ場、西武ドーム、狭山スキー場などを擁する。しかし昭和の景気のいい時代に比べると、もう人が集まらないのか、湖岸を走る都道55号線沿いにはラブホテルの廃墟が連なる。このあたりのラブホテル廃墟群を散策するのは、また今度の機会にしておこう。




羽村の河原から運んできた資材を、どこに下ろしたのかはわからない。旅客用の鉄道駅ではないから、必要なところでトロッコを停めたのかもしれない。いずれにせよ、軽便鉄道は、狭山湖のこのあたりで終点となる。


子供の頃、デカいブラックバスがいると噂を耳にした友人が、多摩湖、狭山湖のスロープから竿を出し、見事大物を仕留めたという武勇伝を吹聴していた。本当かどうかは知らない。今も昔も、東京都水道局が厳重に管理するこの貯水池は、釣りが厳しく禁止されている。
そんな時代もあったたねといつか話せる日がくるわ。
交通アクセス
電車:西武鉄道西武球場前駅(埼玉県所沢市上山口)
前回の記事
【羽村・山口軽便鉄道】東京都の鉄道空白地帯、武蔵村山市にある廃線跡を歩く/その②野山北公園自転車道(IHI瑞穂工場〜武蔵村山市本町)


